アルミ製なのか、清潔感のあるシルバー枠のガラス戸を開ける。 『お帰りなさいご主人さま』というマスターのお出迎え。 この人に委ねれば大丈夫という安心感を与えるマスターの服はだいたい黒だ。 壁と床はクリーム色。 暖色系の照明と相まって暖かみを感じさせる。 上下運動を繰り返す独特の椅子はオレンジ色。 座り心地の良いその椅子に掛けるとおもむろに巻かれるタオルは黄色、もしくはオレンジ。 マスターの優しさを表すかのような軽やかなケープはクリーム色だ。 『本日はどうなさいますか？ご主人さま』とマスター得意のカウンセリングがはじまる。 包み込むようなマスターの位置とトークが、まるで母親の胎内にいるこのような錯覚を起こさせる。 色で言うならばサーモンピンクだ。 オーダーが決まるとマスターがナニを取り出し、アレを色々とはじめる。 私の頭頂部から黒い小宇宙(コスモ)があふれ落ちる。 普段のストレスや疲れも落ちてゆくようだ。 私の心はモスグリーンからスカイブルーへと変化してゆく。 『おいしくなぁれ、おいしくなぁれ』とマスターが呟きながらアレをナニする。 手つきが早すぎて常人には残像しか見えていない。 ペールオレンジの手元を目で追えるのは御殿場でも3人はいないだろう。 キャラメル色のような雰囲気に身を委ねているとあっという間にサービスが終わる。 晴れ晴れとした気持ちで帰途につく。 店の雰囲気、カラーともに暖色でみたされているが、マスターは男色ではないようなのでご安心を。